第72期司法修習生 7月集会は、 令和元年7月14日(日)・15日(月・祝)、京都教育文化センターにて開催します。

分科会

分科会テーマ

※「同性婚」については14日の分科会、15日の全体会の両日で勉強会を行います。扱う内容は両日で異なりますが、一方のみの参加も大歓迎です。
また、「同性婚」の紹介については、全体会のページをご覧ください。

インターネット法則

当分科会は松尾剛行弁護士を講師にお招きし、インターネット法制の現状と今後について学びます。講師のコメントをご覧ください。

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私は、桃尾・松尾・難波法律事務所という企業法務を中心に扱う事務所の弁護士として、インターネット上の名誉毀損・プライバシー侵害案件等のIT分野を多く取り扱っています。
インターネットがインフラとして多くの人によって利用されるようになると共に、インターネット上の名誉毀損とプライバシー侵害の問題は多くの人が抱える普遍的問題となりました。
様が弁護士になった後も、「知り合いがネットで炎上してしまったがどうすればいいか」とか「労働組合がインターネット上に会社の非行を批判する文書をアップしたら、会社から名誉毀損と言われた」等の相談が十分に想定されます。
ここで、皆様のようなインターネットやSNSに親しむ若者こそが、インターネットの問題を扱うにふさわしいことは特筆に値します。
やはり、インターネットの名誉毀損事件はSNSをやっていない世代の弁護士に頼むよりも、SNS等を日常的に扱う世代の弁護士、つまり皆様の方がより良く取扱うことができます。とはいえ、あくまでもその前提は、皆様がインターネット上の名誉毀損の事件処理の方法を理解しなければなりません。
プロ責法の仕組み、例えば損害賠償請求訴訟を含めて三回の裁判を行うことが必要なことも多いことを理解することが必要です。
また、プロ責法の要件を理解しなければ、「匿名のメールは、プロ責法で送信者を突き止められるか?」といった問題を解決できないかもしれません。
また、裁判例上問題となっている論点を理解しなければ、突然被告が「ログイン情報」と論点を提起して、慌ててしまうかもしれません。
今回は、インターネット上の名誉毀損についての基礎を説明した上で
(1)個人からの相談、
(2)企業からの相談、
(3)労働組合からの相談
の3つの類型に応じて、「ありそう」な事例を元に、インターネット上の名誉毀損やプライバシー侵害の問題について、どのように対応すべきかを考えてみたいと思います。
その際は、上記のような手続き面の問題と実体法(名誉毀損法やプライバシー法)の問題の双方を含め、例えば、
①匿名の誹謗中傷にどう立ち向かうのか、
②昔の犯罪についての記事は永遠に残るのか(忘れられる権利)、
③既に他の形で公表された内容は別のところで公表されても文句は言えなくなるのか、
④自分達の記載した記事が名誉毀損だと言われたらどうすべきか
等の具体的な問題について、最新の実務に基づく、できるだけ皆様にとって有益なお話をしたいと思います。

沖縄基地問題

分科会では、沖縄の辺野古に米軍基地を建設することがいかなる問題を含むか、環境面、法律面の両面から考察していく予定です。
辺野古・大浦湾には、長い年月をかけて形成された美しいサンゴ礁と青い海があり、マングローブ林、干潟、海藻藻場、砂場、泥場、サンゴ礁が連続し、やんばるの森からの河川により豊かな海洋生態系が作り上げられています。
辺野古での基地建設が進められれば、このような裕な自然や生態系が破壊されることとなり、原状回復することは極めて困難になります。
2015年10月、沖縄県知事は辺野古の埋立承認を取り消しました。沖縄防衛局は、行政不服審査法に基づく承認取り消しに対する審査請求と執行停止の申立てを行いました。問題となるのは、沖縄防衛局が国土交通大臣に申立てたことです。
これは、行政不服審査法が国民の権利保護を目的としているのに、国の機関である沖縄防衛局が私人に成り代わって行っているもので、いわば国の行為の当否を国自身が判断することを意味します。
さらに、沖縄県民は、選挙や住民投票でたびたび辺野古基地建設反対の意思を表明してきました。しかし、日本政府はこうした民意を顧みず、辺野古基地建設のための埋立を着々とすすめています。
私たち分科会メンバーを含め、7月集会に来てくださる皆さんの多くは沖縄にゆかりのない人かもしれません。しかし、自分の故郷に軍隊の基地が作られ、見慣れた景色が大きく変わっていくとしたら、どのように感じるでしょうか。辺野古で今行われていることを知り、考えることを一緒に始めてみませんか。

技能実習生

昨年の12月8日、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」(通称:改正入管法)が国会において可決され、成立しました。
改正入管法においては、新たに「特定技能」という在留資格が創設され、これにより今後日本にいわゆる単純労働に従事する多くの外国人労働者が入国してくるものと考えられます。
改正入管法の成立まで、外国人が本来的な意味での「労働者」としての在留資格に基づいて来日することができるのは、「専門的・技術的分野」の在留資格に限られており、それ以外の単純労働については、技能実習生や留学生がその不足分を補う労働力として利用されてきた現実がありました。
しかし、その日本の労働力を補完してきた技能実習制度については、賃金未払いや労働基準法に違反した低廉な残業代、違法な時間外労働などの技能実習生を取り巻く劣悪な労働環境や、送出機関や仲介機関による中間搾取等の制度自体の不備など、制度実施以来多くの問題点が指摘されてきています。そして、そのような問題は依然として解決されていません。
平成29年の厚生労働省の調査では、全国の労働基準監督機関が監督指導を実施した5996事業場(実習実施者)のうち、その70.8%に当たる4,226事業場において労働基準関係法令違反が認められたという報告がなされています。
このような状況の中、新たに外国人労働者を日本に受け入れることによって上記のような問題が加速しないとは言い切れません。
当分科会では、改正入管法が成立した今、技能実習制度の抱える問題点について改めて学び、将来生じうる法的な問題に私達が如何に向き合うべきかということを考えます。

強制連行・強制労働

当分科会は、戦時中になされた強制連行・強制労働問題について、問題の所在を明らかにするとともに、法的・歴史的観点から問題点を分析することを予定しています。

2018年10月30日、韓国の大法院において、新日本製鉄(現・新日鉄住金)に対して、韓国人の徴用工ら4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じる判決が出ました。韓国の大法院において徴用工訴訟について判決が出たのは初めてのことであり、これに対して、安倍晋三首相は、「本件は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ。日本政府としては毅然と対応する」と述べ、強く反発しました。一方、中国人強制連行・強制労働事件の被害者が提起した西松建設強制連行訴訟では、2007年4月27日の最高裁判決において、「戦争中に生じた中国国民の日本に対する請求権は日中共同声明によって放棄された」として原告の訴えを退けたものの、その一方で「被害者の被った精神的・肉体的苦痛は極めて大きかった」「被害の救済に向けた努力をすることを期待する」とも述べ、企業側に自発的な解決を促しています。判決を受けて、2009年に西松建設は原告と和解をしています。2016年6月には、中国で賠償を求める訴えを提起された三菱マテリアルも、原告と和解をし、慰霊碑を建設して歴史の継承を図る事業を共に行うことを合意しました。今年は、ついにその事業がスタートする記念すべき年になります。

このように、韓国と中国の強制連行・強制労働被害者に対する、日本政府や企業による対応は異なっています。しかし、強制労働・強制連行問題について、日本では日韓・日中関係の火種である外交問題として報道されることが多く、そもそも原告らがどういった人物で、どのような被害を訴えているのかについては論じられることが少なく、被害者の視点が欠落しているという点は共通しているように思います。
そこで、当分科会は、韓国側・中国側の訴訟をめぐる強制連行・強制労働問題の所在と現状、課題について分析し、問題の解決について検討していきたいと思います。

原発問題

2011年3月11日、東日本大震災が起きたあの日から8年が経過しました。当時、私は大学3年生で、就職活動のため東京のとある会社で面接を受ける直前に、足元や周囲の建物が大きく揺れたのです。当日の朝に起床したときは、「この面接で、自分の将来が変わるかもしれない。」と思っていましたが、地震後にどうにかこうにか自宅に帰って布団に入ったときは、「この地震で、日本の将来が変わるかもしれない。」と考えるようになっていました。テレビやネット上で発信される津波や原発の情報は、それほどに自分に大きなインパクトを与えた出来事でした。

それから時が経ち、私は民間企業に就職し、諸事情から司法試験を受け、現在は司法修習生として日々新たなことを学ぶ生活をしています。ただ、正直なところ、目の前の課題やイベントに目が行きがちで、少し広い視点から物事を見る時間がなくなってきていると感じていました。

専門職の過重労働

当分科会では、「専門職の過重労働」をテーマとして扱います。
ニュースや新聞で、「過労死」という言葉をよく見かけます。彼らは望んで死んでしまうまで働き続けたのでしょうか?そんなはずはないでしょう。職場が、制度が、休むことを許さなかったのです。それはつまり社会が彼らを殺した、と言ってしまっても過言ではないように思います。このように現在の日本社会では、「働くために生きる」ことを強要されている人々が存在します。

そうした問題意識から私たちは、労働環境が苛烈を極める職種にスポットを当て、なぜそのような労働環境があるのか、どうしたら改善できるのかを、本分科会で検討していきたいと考えています。

具体的には、昨今取り沙汰されている「教師の労働環境」を本分科会の中心に据えることと致しました。教師は、児童生徒の教育という重要かつ繊細な職責を担っています。また、本来の業務とは言えない部活動の指導等も担っており、業務の長時間化は必至です。にもかかわらず、公立学校においては、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」という法律により、一定の残業時間を超えた分の残業代は支給されません。これは、業務に必然的に伴う勤労時間であるにも関わらず、給与を支給しないということであり、「タダ働き」を強制していると言わざるを得ません。また、残業時間が給与に反映されないことから、職場の労務管理もずさんとなり、結果的に長時間労働を助長しています。このように、教師という職責、法制度及び職場環境が一体となり過重な労働環境を作り出していると言えます。

上記のような観点から、本分科会では、現職の教師の方をお招きし、教師の労働環境の実情についてお話しいただくと共に、弁護士から法制度の問題点や責任追及の方法について、また研究者からこのような現状を招いた原因や解決方法についての講演をお願いしております。
これらの講演を通して、過酷な労働環境にある職種に関心を持っていただくと共に、皆さんがそれぞれの職場の労働環境について考え、「働く」こととは何か、気づきを得るきっかけになれば幸いです。

難民入管

2017年の難民申請者数は19、628人、その中で難民として認定された人の人数は20人、難民認定率は約0.1%でした。
難民とは、「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることを望まない」人々等を指します(難民の地位に関する1951年の条約第1条)。すなわち、この定義に当てはまる迫害から逃げてきた人は、入国の仕方を問わず、難民なのです。
しかし、自国から逃げ、日本に「不法入国」、オーバーステイをした難民は、多くの場合、入国管理局の難民収容施設に収容されることになります。収容された人々は、最悪の場合、送還まで無期限収容され、その間、いつ迫害を受ける恐れのある場所へ送還されるかもわからない恐怖と、いつ出られるかもわからない不安の中で日々を過ごすことになります。
また、収容所内の医療処遇や衛生環境には問題があり、「刑務所以下」とも言われています。
難民問題の本質は、迫害から逃れてきた難民を、迫害の元へ送り返す点、送り返される恐怖にさらす点にあります。
当分科会では、まず、日本における難民認定の現状、特に認定の仕組みと認定率の低さなど、議論を進めるための前提を確認します。その後、収容所内部の実態や被収容者が直面する恐怖と苦痛について、具体的な事案を交え学ぶことで、改善に向けた実務家の役割を考える予定です。

累犯障がい者の更生支援

私たちの分科会では、「累犯障がい者の更生支援」を取り上げます。
更生保護法は、その1条において「この法律は、犯罪をした者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるとともに、恩赦の適正な運用を図るほか、犯罪予防の活動の促進等を行い、もって、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進すること」を目的として定めています。
犯罪者や非行少年の改善更生の目的を達するため、法は社会内での処遇を予定していますが、こうした社会復帰に向けた支援は、司法と福祉の連携が欠かせません。
たとえば、高齢であったり障がいを抱えていたりする被疑者、被告人に対して適切な福祉的支援を行うため、刑事手続の初期の段階における「入口支援(刑務所等の矯正施設収容前に実施される支援)」として、弁護人や検察官がそれぞれの立場で福祉施設や関係機関と連携をとること等が行われています。
なぜ福祉と連携した支援が求められるのかというと、2003年発表の山本譲司さん著『獄窓記』が大きなきっかけであると言われます。同書は、心身に障がいを抱えた人たちが数多く刑務所に収容されていて、彼らは受刑前に福祉的な支援を受けてきていない場合が多く、また刑務所では障がいのある受刑者に対してまともな矯正教育などが行われていないことから、このままでは出所後に福祉につながることが難しいと指摘しています。この指摘がなされて以後、日本では官民合わせて様々な取り組みが行われるようになりました。
私たちの分科会では、上記の問題点について、入口支援に関する話を弁護士及び検察官側の視点から伺いたいと考えています。

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