第71期司法修習生 7月集会は、平成30年7月15日(日)・16日(月・祝)、京都教育文化センターにて開催します。

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6月集中企画実施報告

2018.06.11

6月集中企画実施のご報告

 

1 7月集会6月集中企画の実施

6月2日(土),7月集会に先立ち,6月集中企画を京都教育文化センターにて開催しました。約50名もの参加があり,質問が参加者から飛び交うなど,会場は熱気に包まれておりました。

日本でのビッグイベントの開催ということで,日本全体として盛り上がっているような雰囲気の中で,現実に起こっている問題の数々に改めて気付かされるという機会になりました。まさに,今年の7月集会のテーマ,「今,考える。今,変える。」にふさわしい,今,現実に起きている問題と向き合うことのできた企画となりました。

 

2 第一部 2020東京五輪問題―総論―

『反東京オリンピック宣言』の編者でもある鵜飼哲氏(一橋大学大学院言語社会研究科教授)に「『2020東京オリンピック』を問う」と題しまして,オリンピック問題の総論についてご講演いただきました。

―「放たれた鳩の一羽が,一向飛び立とうとせず,緑のフィールドにがんこにすわっていた。こういう鳩もあってもいい。」―

冒頭,このような三島由紀夫の言葉を引用しながら,鵜飼氏は,「今,私は,この鳩です。」と言い,オリンピック問題について語り始めました。1964年に開催された東京オリンピックとの対比をしながら,過去のオリンピックで起きていた問題が2020東京五輪でも起きていること,起きうることを再確認しました。「排除と包摂」,「問題が多すぎるという問題」といったキーワードの数々に会場から頷きの声がこぼれていました。

最後には,「2020年の東京オリンピックでも多くの人権侵害が起こる可能性が高い。法曹になろうとする人たちには,このような問題に目を向けてほしい。」とメッセージを送りました。

 

3 第二部 2020東京五輪問題―各論―

(1) 修習生報告「オリンピックボランティアに関して」

実行委員の脇山美春より,オリンピックボランティアの問題についての報告を行いました。

東京オリンピック組織委員会のHPに掲載されている募集要項等を見ながら,ボランティアと労働者との違いに着目しながら,問題提起を行いました。参加者にボランティア条件に関する疑問を投げかけるとともに,ボランティア参加のリスクについての注意喚起を行いました。

  

 

(2) ご講演「野宿者排除の実体験」

『反東京オリンピック宣言』の著者の一人でもある小川てつオ氏(野宿者,反東京五輪の会)に野宿者排除の実体験をご講演いただきました。

野宿者という立場の方の話はなかなか聞けない貴重な話であり,会場中が自分の言葉で語る同氏の姿に注目をしていました。テント村での生活や立ち退きを余儀なくされた状況につい実体験を語っていただきました。

「オリンピック気持ち悪いな…。」

同氏から不意に出た言葉です。その言葉の背景には,テント村にある「コミュニティ」が破壊され,オリンピックに巻き込まれているという感覚に陥った野宿者たちの背景がありました。「コミュニティ」という普段,私達が考えたこともなかった価値観に触れられ,オリンピックの違和感が垣間見えた講演でした。

 

(3) ご講演「新国立競技場過労自死事件~なぜ新入社員は自死せざるをえなかったか~」

新国立競技場過労自死事件の労災申請を行った弁護士の山岡遥平氏(神奈川総合法律事務所)に同事件の概要,原因についてご講演いただきました。

被災者は,平成28年4月入社の新入社員,建設現場における期間外労働は190時間を超えていました。計算にして,朝8時から夜23時の労働が週6日続けられていた原因について語っていただきました。建設業界の人手不足状況の説明から始まり,下請け体制について丁寧に解説をしていただきました。幾重にも連なった下請けにより,必ず板挟みになる者が現れること,それが今回の長時間労働につながったのが事件の要因の一つでした。また,スケジュールの逼迫という問題もあり,特にスケジュールに振り回されたことは,オリンピックの影響そのものでした。

今後,ますます納期に迫られる環境の中で,労働環境は改善されるのかと不安を覚えたご講演でした。

  

 

4 第三部 2020東京五輪問題―パネルディスカッション―

講演者3名によるパネルディスカッションを最後に行いました。教授,野宿者,弁護士と異なる立場,さらには年齢層もバラバラという中でのパネルディスカッションでした。

お互いの講演内容に関する質問から始まり,2020東京五輪問題について,各々の立場から意見を述べました。司会を務めた実行委員の脇山からの投げかけに対し,パネラーたちも徐々に白熱していき,司会者にも質問を返すなど,充実した議論が行われました。

「32兆円あると言われている経済効果について,どう思うか。」という質問に対しては,「誰のところに利益が流れていくかが重要であり,利益は往々にして貧困層には流れてこない。」とその経済効果に疑問の声を上げていました。

  

 

5 参加者の声(当日のアンケートより)

―1964年と2020年の東京五輪の関連性に対する鵜飼氏の見解が印象的でした。メディアで報道されている内容よりも深く掘り下げたものが聞けて興味深かったです。―

―司法試験では労働法選択でしたので,ボランティアの労働者性についての修習生報告は,内容がわかりやすかったです。同じ修習生がここまで突き詰めて考えていることに驚きました。―

―小川氏の「コミュニティ」そのものの保護という考えを新鮮に感じ,それに対する法的保護をどう考えるか,想いを巡らすきっかけになりました。―

―新国立競技場過労自死事件について,弁護士の仕事として熱く語られており,労働問題について再認識させられました。―

―1つの社会現象に焦点を当て,様々な視点からの考察がされていたことは,立場がはっきりしていて聞きやすかったです。パネルディスカッションの時間がもっと欲しかったです。―

―問題がたくさんありすぎて整理ができていません。家に帰ってから,またゆっくり考えてみたいです。―

 

以 上

 

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